── 世界を魅了する日本建築:Architizerが選ぶ「日本を代表する設計事務所第30位〜第16位」
安藤忠雄から隈研吾に至るまで、日本の建築設計事務所は構造的合理性と美的洗練を兼ね備えた建築を世界各地で実現している。
今回ご紹介するのは、長年にわたるA+Awards受賞実績や注目プロジェクトの数をもとに Material Bank のグループメディア 「Architizer(アーキタイザー)」が選出した「日本を代表する建築・デザイン事務所30選ランキング」。伝統と革新を併せもつ日本建築を牽引する組織が並ぶ。
日本の建築手法と構法は、長らく欧米において高い評価を受けてきた。とりわけミニマリズムに根ざした美学は、いまだ捉えがたい側面を持ちつつも、国外との形式的な交流において多大な成果を上げてきた。仏教寺院や広大な神社建築、湾曲屋根を備えた伝統的木造建築、そして「再生」を重視する保存思想といった特徴的な文化的文脈に加え、第二次世界大戦後にはモダニズム建築が日本で飛躍的に発展し、メタボリズム運動として国際的にも大きな影響を及ぼした。
戦後の大規模な都市・建築再生のなかで、丹下健三のような先駆的建築家たちは、日本の伝統とモダニズムを融合させた空間づくりにおいて多大な功績を残した。こうした近代建築の再解釈は、自然や風景との関係性を重視する建築家たちによって、20世紀を通じて推進されてきた。中でも日本における教育施設の設計や、公共トイレを刷新する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトなどは、国際的にも注目に値する建築類型であり、日本独自の教育理念(規律、探究心、責任感)を反映している。
数多くの建築設計事務所の中から、プロジェクトに最適な設計パートナーを見極めることは容易ではない。そこで Architizerは、過去10年以上にわたるデータと業界知識に基づき、日本における最優秀の建築設計事務所を厳選・紹介している。それでは早速、日本を代表する建築設計事務所ベスト30をご紹介する。(後編はこちら ▶︎)
※本記事は、Material Bankのグループメディアである「Architizer(アーキタイザー)」の記事を翻訳・編集したものです。
第30位:TDSTUDIO(ツシマ・デザイン・スタジオ)
東京を拠点とする国際的な小規模建築設計事務所。既存建築や敷地、環境に対して変容的なアプローチを取り入れ、明快な空間構成を追求する。建築が生涯を通じて環境に配慮し、地域性や文化的背景を重視した設計を行っている。

主なプロジェクト:
- Mei Zhou Church(中国・杭州)
- Tianzhu Marketing Center(中国・北京)
- N-House(東京)
- Y-House(東京)
- Shanghai Wujifang(中国・上海)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:5件
- 登録プロジェクト総数:6件
第29位:Aisaka Architects’ Atelier(相坂研介設計アトリエ)
東京郊外の密集地に拠点を構える設計事務所。保育園などの教育施設を中心に、都市住宅の設計に取り組む。

主なプロジェクト:
- あまねのもり保育園(千葉県)
- 東立石保育園(東京都葛飾区)
- house in todoroki(東京)
- 恵雲ビル(東京)
- テゾーロ保育園(千代田区)
選定理由:
- A+アワード最終候補:1件
- 特集掲載プロジェクト数:6件
- 登録プロジェクト総数:6件
第28位:Klein Dytham architecture(クライン・ダイサム・アーキテクツ)
1991年に設立された、東京を拠点とする国際的な設計事務所。建築・インテリア・パブリックスペース・インスタレーションなど多岐にわたる。Google、蔦屋書店、UNIQLOなどのクライアントを有する。

主なプロジェクト:
- カルティエ心斎橋ブティック(大阪)
- ポコポコ クラブハウス(那須)
- Soma City HOME-FOR-ALL(福島県相馬市)
- 代官山T-SITE(渋谷)
- Leaf Chapel
選定理由:
- A+アワード受賞:1件
- 特集掲載プロジェクト数:5件
- 登録プロジェクト総数:10件
第27位:bandesign(バンデザイン)
「変わらない価値」を設計理念とし、太陽の動きのように普遍的な事象を建築に取り込む。長寿命かつ文化的価値を備えた建築を志向する。

主なプロジェクト:
- Mirrors(岐阜県)
- Involve(日進市)
- Turn, Turn, Turn(愛知県)
- Secret Garden(愛知県)
- The Distance(日本)
選定理由:
- A+アワード受賞:1件
- A+アワード最終候補:1件
- 特集掲載プロジェクト数:5件
- 登録プロジェクト総数:7件
第26位:CASE-REAL(ケース・リアル)
二俣公一氏が率いる建築・インテリア事務所。環境や目的、課題に応じた創造的な解決策を通じて、本質的な空間を追求する。福岡と東京を拠点に、建築・インテリア・家具・プロダクトを広く手掛ける。

主なプロジェクト:
- House in Saitozaki
- 海上レストラン(高松市)
- House in Tsurumaki(東京都)
- 与論島のヴィラ(鹿児島県)
- WINE&SWEETS TSUMONS(福岡)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:6件
- 登録プロジェクト総数:7件
第25位:Yohei Kawashima architects(川島陽平建築設計事務所)
2014年設立。集合住宅や商業施設における設計に精通。主に宮古島を拠点に、複数の集合住宅プロジェクトを展開している。

主なプロジェクト:
- M_building(宮古島)
- JINS 仙台泉店(仙台)
- O_apartment(宮古島)
- S_apartment(宮古島)
- N_apartment(宮古島)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:6件
- 登録プロジェクト総数:10件
第24位:Ryuichi Sasaki Architecture(佐々木龍一建築設計事務所)
建築の文化的文脈を再解釈し、空間や秩序の概念を再考する設計姿勢を持つ。現代的な視座から空間を問い直し、建築の可能性を広げる。

主なプロジェクト:
- 蓬木乃旅館
- Wall Cloud(東京)
- Modelia Days GOKOKUJI(文京区)
- ショパン国際音楽センター(ポーランド)
- Modelia Brut KAGURAZAKA(新宿区)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:6件
- 登録プロジェクト総数:15件
第23位:kasa architects(カーサ・アーキテクツ)
「建築ではなく場所をつくる」という理念のもと、クライアントとの対話を通じて新しい暮らしの豊かさを生み出すことを目指す。地域の特性を尊重した住宅設計に定評がある。

主なプロジェクト:
- シェアハウス船橋
- house in kodaira
- house in ageo
- house komoro(小諸市)
- house koenji(東京)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト:6件
- 登録プロジェクト総数:22件
第22位:Tsutsumi And Associates(堤アーキテクツ)
広島と北京に拠点を持つ建築設計事務所。敷地に複雑に絡み合う要素を丁寧に解きほぐし、本質的な建築を目指す。長く愛される建築を志向。

主なプロジェクト:
- ANZASダンススタジオ(北京)
- House in Dawanglu(北京)
- Tsingpu Baisha Retreat(麗江)
- 料亭 松子(杭州)
- Spiral Villa(杭州)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:7件
- 登録プロジェクト総数:20件
第21位:MORIYUKI OCHIAI ARCHITECTS(落合守征建築設計事務所)
自然や生命の美しさ、繊細な感性を建築に取り入れ、空間・インテリア・家具・ランドスケープ・工業デザインまで広く展開。人の夢を叶え、生活に活力を与えるような設計を追求する。

主なプロジェクト:
- アルミニウムの花園
- ARKHE美容室(千葉)
- 夢民牧場ストア
- Pixy Hall(横浜)
- YUME MARCHE(日本)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:7件
- 登録プロジェクト総数:22件
第20位:FORM/Kouichi Kimura Architects(フォルム・木村浩一建築研究所)
1991年に木村浩一氏により設立されたFORMは、「静謐な時が流れる空間」の創出を理念として掲げ、主に住宅設計を中心に活動を展開している。造形・陰影・光の扱いに対する繊細な感性は、詩的とも評される建築を生み出してきた。

主なプロジェクト:
- House of Silence(滋賀)
- House for a Photographer(滋賀)
- House of Representation(日本)
- Promenade House(滋賀)
- House of Reticence(滋賀)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:7件
- 登録プロジェクト総数:8件
第19位:Apollo Architects and Associates(アポロアーキテクツ・アンド・アソシエーツ)
建築家・黒崎敏の主宰する建築設計事務所。ギリシャ・ローマ神話における光と太陽の神アポロンに由来する事務所名が示す通り、本事務所は「光」と「影」という素材を用いた建築を追求する姿勢を貫いている。2000年の創設以来、都市や社会において輝きを放つ存在となるべく活動を重ねてきた。

主なプロジェクト:
- WRAP(東京都港区)
- FOLD
- FLOW(浦安市快楽)
- NEUT(東京)
- LATTICE
選定理由:
- A+アワード・ファイナリスト:1件
- 特集掲載プロジェクト数:8件
- 登録プロジェクト総数:12件
第18位:Kichi Architectural Design(吉デザイン設計事務所)
住宅を中心に、店舗やオフィスの設計も手がける建築設計事務所。土地の持つ潜在的なエネルギーを読み取りつつ、施主との対話を重ねながら、住まい手の精神と響き合う独創的な空間を目指している。

主なプロジェクト:
- House of Blocks(牛久市)
- Cubic House of Kubogaoka(守谷市)
- Ripple House(つくばみらい市)
- Scandinavian Middle(つくばみらい市)
- Hotel PatInn(小笠原)
選定理由:
- 特集掲載プロジェクト数:7件
- 登録プロジェクト総数:30件
第17位:SUGAWARADAISUKE Architects(菅原大輔建築事務所株式会社)
都市・ランドスケープから建築、インテリア、グラフィック、ブランディングまでを横断するクリエイティブを展開する建築・アートディレクションオフィス。世界的視点と建築的素養を基盤に、多様なスケールと要素を統合した創造を行っている。

主なプロジェクト:
- 森の中のオフィス/アクアプラネット本社(三重県松阪市)
- 陸前高田の仮設住宅(東日本大震災 緊急対応プロジェクト)
- ゆたか幼稚園(埼玉県)
- CELL
- Kiritoshi House(千葉県大網白里市)
選定理由:
- A+アワード・ファイナリスト:2件
- 特集掲載プロジェクト数:7件
- 登録プロジェクト総数:17件
第16位:Akira Koyama + KEY OPERATION INC. / ARCHITECTS(小山光 + キー・オペレーション 一級建築士事務所)
課題に対して、最も簡潔で革新的な空間構成や建築技術による論理的な解決策を見出すことを目指す設計事務所。施主の要望や都市環境、社会的背景、地域文化、建築素材など多面的な要素を分析し、調和ある空間を導き出す。

主なプロジェクト:
- yotsuya tenera(東京)
- 六つの吹抜けをもつ不動前の集合住宅(目黒区)
- 桜木町レジデンス(横浜市)
- House Taishido
- Komachi Building(渋谷)
選定理由:
- A+アワード受賞:2件
- A+アワード・ファイナリスト:2件
- 特集掲載プロジェクト数:6件
- 登録プロジェクト総数:24件
【 ランキングの算出方法について 】
本ランキングは、各設計事務所が有する建築的卓越性を示す主要な指標に基づき作成されたものである。下記の指標は、重要度の高い順に並べられており、それぞれのデータは各社の評価を数値的に裏付けるものである:
- A+Awardsの受賞件数(2013年〜2025年)
- A+Awardsファイナリスト選出回数(2013年〜2025年)
- Project of the Day への選出件数(2009年〜2025年)
- Featured Project への選出件数(2009年〜2025年)
- Architizerへのプロジェクト登録数(2009年〜2025年)
【 プロジェクト評価における指標について 】
本ランキングは毎年更新されており、年ごとの新たな実績を反映している。(今回ご紹介しているものは2025年4月11日更新)
各プロジェクトページには、評価を示すバッジが表示されており、青色の「+」マークはA+Awardsの受賞を意味する。該当バッジにカーソルを合わせることで、受賞カテゴリ、受賞年、審査員賞か一般投票による賞かといった詳細が確認できる。
さらに、オレンジ色の「Project of the Day(本日のプロジェクト)」バッジおよび黄色の「Featured Project(注目プロジェクト)」バッジは、編集部が選定したプロジェクトに授与されるものであり、以下の条件を満たすことで選出の可能性が高まる。
▪️ 過去3年以内に竣工したプロジェクトであること
▪️ 明快かつ簡潔なプロジェクト説明が3パラグラフ以上あること
▪️ 機能性と美的完成度の両面で高い建築的価値が認められること
▪️ 鮮明で高解像度な写真が使用されていること
▪️ 外観および内観写真が計8枚以上掲載されていること
▪️ 建築図面やレンダリングが添付されていること
▪️ 施工中の様子を記録した写真が含まれていること
なお、「Project of the Day」は毎週7件が選出され、Architizer 公式SNS(Facebook、X〈旧Twitter〉、Instagram Stories)上で紹介される。また、「Featured Project」は週31件がFacebook上で公開される。「Project of the Day」に選ばれたプロジェクトは、週刊ニュースレター「Weekly Projects Newsletter」にも掲載され、約17万人の購読者に共有される。