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ブランドセレクション

        2026年6月18日

        “つくる人”が集まる場所|ヒューストンの元倉庫を再生したクリエイティブ拠点

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        Bakers, painters, product designers, and dressmakers synergize at Houston’s 2910 McKinney,a mid-century former warehouse turned mixed-use hub re-enlivened by fellow tenant MaRS Culture

        パン職人、画家、プロダクトデザイナー、ドレスメーカーたちが、ヒューストンの〈2910 McKinney〉に集う。ミッドセンチュリー期の元倉庫を、同じ入居者でもある「MaRS Culture」が再活性化した複合クリエイティブ拠点。



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        ── 歴史が取り壊されてきてしまった都市で、生き残った倉庫

        テキサス州ヒューストンは、過去を取り壊してきた都市として知られている。ゾーニング規制はなく、歴史的建築を守る制度も少ない。市が初めて保存条例を制定したのは1995年のことだった。

        「あらゆるものが壊され、歴史の痕跡が残らない」と語るのは、地元建築デザイン事務所「MaRS Culture」の創設者兼CEOである Kelie Mayfield(ケリー・メイフィールド)氏だ。

        アメリカの他都市では一般的な古い工業建築も、この街では珍しい存在となっている。そんな中、1953年に建てられた65,000平方フィートの元倉庫兼ショールーム「2910 McKinney」は生き残り、新たな命を与えられた。



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        開発を手がけたのは「Local Partners」創設者の Shon Link(ショーン・リンク)。ジェントリフィケーションが進むイーストダウンタウン地区に位置するこの建物は、もともと塗料や日用品を扱う「Peaslee-Gaulbert Corporation」のショールーム兼配送センターとして使われていた。その後は家具会社や印刷会社、サンドペーパー会社などが入居していた。Link 氏は、レンガ構造、コンクリート床、15フィートの高天井を持つアールデコ建築としての質の高さに魅力を感じたという。安全対策として塞がれていた窓も、結果的に当時のまま残されていた。



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        「空間には独特の魅力があり、中に入ると時代を超えた感覚がある」と Link 氏は語る。彼は Mayfield 氏とともに、この場所を“クリエイティブな人々のための拠点”として再構築することを目指した。

        パンデミック以降、地域で活動していたデザイナーやメーカーたちは、つながりを求めていた。そして既存空間を大きく変えずに活用できる彼らは、建物の歴史的な雰囲気を維持することにもつながった。



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        ── 最小限の介入で生まれた、創造性のコミュニティ

        2910 McKinneyでは、ベーカリー〈Kraftsman Baking〉と Bar〈Nickel City〉が核テナントとなり、そのほかの空間にはデザインコラボラティブやメーカー向けスタジオが配置された。「MaRS Culture」はこれらの空間を修復・設計し、入居者構成のキュレーションも行っている。

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        彼らは内部空間を開放し、倉庫特有のラフな雰囲気を維持することにした。塞がれていた窓を再び開き、動線改善のために一部のレンガ壁のみを撤去。照明は裸電球やインダストリアル照明に限定し、コストを抑えつつ空間の一体感を生み出した。スチールとガラスのパーティションは天井まで届かず、オフィスキューブのような半プライベート空間を形成している。

        「互いのスタジオが見渡せて、人の声や音楽が聞こえることで、活気のあるエネルギーが生まれている」と Mayfield 氏は語る。

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        設計介入は極めて抑制的だった。Link 氏は「足すのではなく、いかに“やりすぎないか”を考えるプロセスだった」と振り返る。床材を剥がした際に現れたコンクリートの痕跡や、かつて塗料を展示していた部屋に残る色彩など、建物の“癖”をそのまま個性として残した。

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        現在は、アップサイクルファッションブランド〈Magpies & Peacocks〉、家具工房〈El Dorado Woodworks〉、歴史的窓修復を手がける〈Plum Alley〉、プロダクトデザインスタジオ〈Branch〉など、多様なクリエイターが入居している。

        異なる分野が交差することで、新しいコラボレーションも生まれている。

        「MaRS」はすでに、NBAチーム〈Houston Rockets〉のラウンジ空間で、古いユニフォームを使ったファブリックアートを「Magpies & Peacocks」と共同制作している。





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        Mayfield 氏は、「デザインはもは閉じた領域ではない。異なる分野が交差することで、予想外のものが生まれる」と語っている。

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        本記事は、「INTERIOR DESIGN」による『creative commons』を、日本語でご紹介する記事です。

        INTERIOR DESIGN Magazine, July/August 2025
        english text: rebecca dalzell
        photography: eric laignel
        firm: MaRS culture|site: houston, texas, USA