
── 島の斜面に展開する、レイヤー構成
インドネシア・ロンボク島の急峻な斜面に建つ「Villa Boë」は、建築家 Alexis Dornier(アレクシス・ドルネア)による、地形と一体化した住宅である。約12,390平方フィートの規模を持つこのヴィラは、単に丘の上に建つのではなく、地形そのものから“立ち上がる”ように設計されている。サステナブルなラグジュアリーを志向するコミュニティ「Tampah Hills(タンパヒルズ)」に位置し、建築、ランドスケープ、アートが連続する存在として、周囲の自然環境に溶け込んでいる。


敷地は急勾配かつ未加工の地形であり、高度な設計的配慮が求められた。建物は地形の等高線に沿ってレイヤー状に構成され、最下部には地中に埋め込まれたガレージとエントランスを配置。そこから上階へと進むにつれ、リビング、ダイニング、キッチンが段状に連続しながら展開する。プライベートエリアは2つのウィングに分けられ、家族単位での独立性を保ちながらも孤立しない構成となっている。最上部には円形のヨガパビリオンが設けられ、丘陵と海を望む静かな瞑想空間が広がる。



── 流れを生む平面と素材の選択|風景と連続する空間体験の設計
平面計画は同心円と放射線状の構成によって成り立ち、屋根の開き方や空間同士の関係性を規定している。この手法により、単なる部屋の積層ではなく、空間が連続的に“展開していく”体験が生まれる。屋根は扇状に広がり、床から天井までの開口部を通して海側の居室に豊かな自然光を導く。上階では屋根の開口によって光が差し込む中庭が設けられ、主空間とは異なる静かな居場所を提供する。


すべての室内空間は外部の風景へと開かれ、熱帯地域特有のインドア/アウトドアの連続性を強調する。プールもまた建築の外部に独立するのではなく、テラスや庭を縫うように連続し、空間全体を一体化させている。素材は抑制的に選定され、チーク材の天井、オフホワイトの壁、パリマナン石の床が、地域の自然環境と呼応する質感と温度を生み出す。




屋根のラインが視線を導く構成には、建築家 John Lautner(ジョン・ロートナー)の影響も見られる。建築は風景を切り取る“フレーム”として機能し、空、丘陵、水平線の断片を内部へと取り込みながら、常に変化する絵画のような体験を生み出している。インフィニティプールは屋根の曲線と呼応し、視覚的に海とつながることで、空間全体に浮遊感をもたらしている。

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