
── オースティンの街並みに新たな息吹を吹き込む、ランドマーク建築の再構築


テキサス州オースティン中心部に建つ〈816 Congress〉は、1983年に竣工した地上20階建ての高層オフィスビルである。
この街を象徴するランドマークの最新リノベーションを手掛けたのは〈 IA Interior Architects(IAインテリア・アーキテクツ)〉。ホスピタリティを重視した設計アプローチにより、歴史的な存在感を保ちながらも、現代的で開かれたオフィス空間へと生まれ変わらせた。
「この建物を“現代にふさわしい姿”へと再生させることが出発点でした。同時に、Congress Avenue という歴史的街路に立つ建築としての記憶も尊重する必要があったのです。」と、IAのプロジェクトディレクターである Kendi Sparks(ケンディ・スパークス)氏は語る。


── 歴史的ファサードに呼応する新しい“顔”


その変化は、まずエントランスから始まる。来訪者を迎えるエントランスでは、黒い熱間圧延鋼板が建物全体を包み込み、グレーの花崗岩の外装と鮮やかな対比を生み出している。かつて列柱の影に隠れていた入口は、柱の一部を取り除くことで視認性を高め、より開放的で人を迎え入れるようなポータルへと変化した。外部から内部へと続く一連のアーチも、統一されたテーマを強調している。
── 西テキサスの風土感と、オースティンの多様性の融合



改修は3フロアにわたって行われ、かつては暗く閉鎖的だった空間が、明るく洗練された環境へと一新された。西テキサスの風景を想起させる素材感と、オースティン特有の折衷的な個性が調和し、選び抜かれたマテリアルとテクスチャーによって、その地域らしさを表現している。
ロビー中央には、特注の石張り受付カウンターが据えられている。地元のファイバーアーティスト、エレン・ブルクスフォートによるロープインスタレーションが印象的なアクセントとなり、天井に吊るされた照明はカウボーイの投げ縄の輪を思わせるフォルムで、テキサスの広い空を象徴している。砂漠の風景に着想を得たニュートラルなカラーパレットが、漆喰、木材、テラゾー、黒い金属などの素材を引き立てる。
── ワークとホスピタリティをつなぐ、柔軟な共用空間


下層階にはリテールやコワーキングスペースが設けられ、多用途に利用できる構成とすることで、入居者同士の交流を促進している。屋内外のつながりも重視され、中庭にはアーチモチーフを取り入れたデザインを施し、庭の体験を屋内へと連続させた。イベントにも利用できるテラスからは、テキサス州議事堂を望むことができる。
また、新設されたアメニティセンターには、休憩スペースや会議室、ラウンジなど多様な機能を備え、仕事と余暇の両立を可能にする。15階にはゴルフシミュレーターを設け、オフィスワーカーが気軽にリフレッシュできる環境を整えている。

こうした改修によって〈816 Congress〉は、現代のオフィス環境に求められるテクノロジーを備えつつも、居心地のよさと人を惹きつける温かみを兼ね備えた建築へと生まれ変わった。
「細部にわたるデザインの積み重ねによって、形式ばったオフィスというよりも“リビングルーム”のように感じられる空間になりました。」と、Sparks は語る。


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