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        2025年9月4日

        OMOTENASHI:ホスピタリティ産業を変革する日本的デザイン哲学




        ── 日本的ホスピタリティが示す新たな空間価値、おもてなしの本質とは




        日本は長らく、礼儀正しく誠実な国民性を持つ国として知られてきた。その背景には、〈おもてなし〉という習慣が大きく関わっている。おもてなしは、日本のホスピタリティやサービスの基盤であり、店舗、ホテル、美容室といったあらゆる場面に息づいている。これは文化に深く根付いた表現であり、社会全体に内在化された行動様式や期待を生み出してきた。

        多くの人々がおもてなしの概念を初めて耳にしたのは、滝川クリステル氏が2020年東京オリンピック招致の際、世界に向けて流暢に語ったスピーチによるものだろう。そのとき多くの人々は、馴染みのない生活様式に漠然とした興味を抱きながら微笑み、うなずいたに過ぎなかった。しかし、ホスピタリティ産業に携わる人々は、その言葉に真剣に耳を傾けた。そして今、その姿勢が確かに形となり始めている。




        Case 01:選手村ビレッジプラザ (NIKKEN SEKKEI、東京)

        写真:雁光社・野田東徳
        写真:雁光社・野田東徳



        おもてなしという言葉は、〈表=外に見せる顔〉と〈なし=偽りなく〉を組み合わせたものとされる。すなわち、飾らず誠実に、心から相手に尽くす姿勢を意味する。この思想の源流は茶道にあり、亭主が客の前で一挙手一投足を見せながら茶を点てる所作には、相手を尊重し、調和の場をつくり出す意図が込められている。空間の設え、道具の選択、会話の間合いまで、すべては心地よさとつながりを生むためにある。ここに「全身全霊で仕える」という理念が宿る。




        Case 02:ガラスの茶室 − 光庵(吉岡徳仁デザイン事務所、京都)

        写真:近藤康晃
        写真:近藤康晃


        おもてなしは三つの原理に支えられている。

        第一は「気配り」、相手が口にする前に必要を察知する力である。たとえば、ビジネストラベラーに合わせた机や椅子の調整、文学好きな客への書籍のセレクトといった個別化された配慮が、滞在体験を陰影豊かにする。

        第二は「一期一会」、一度限りの出会いに誠実さを込める姿勢。ホテルの扉を開ける何気ない所作や別れの挨拶にも、深い真心が宿る。

        第三は「お任せ」、信頼に基づく委ねである。寿司店の「おまかせ」に由来し、ホテルでもシェフやコンシェルジュに一任する体験が、安心感と期待感を同時に生む。




        Case 03:ザ ロイヤルパーク キャンバス札幌大通公園(三菱地所設計、札幌)

        写真:川澄・小林研二写真事務所
        写真:川澄・小林研二写真事務所


        これらの原理をホテル運営に織り込むことで、単なるサービス提供から「共に時間を紡ぐ場」へと変容が起こる。オペレーションの改善にとどまらず、ホスピタリティを支える思想そのものを再定義することになる。最新技術もここに融合する。たとえばスマートルームのセンサーが宿泊者の行動を学び、帰室の時間に合わせて室温や照明を整えるといった仕組みだ。重要なのは「さりげなさ」であり、客に自然に寄り添う空間を生むことである。

        インテリアデザインにおいても、家具配置、素材選択、光や音の流れが一体となって心理的な快適さを演出する。ロビーから客室へ移動する中で、光や香りの変化がほとんど意識されないほど自然に移ろい、心情に響く体験をもたらす。




        Case 04:TOKYO TORCH 常盤橋タワー(三菱地所設計、東京)

        写真:川澄・小林研二写真事務所
        写真:川澄・小林研二写真事務所


        現代の旅行者は物質的な豪華さよりも「体験」を重視する。海辺を好む客には潮風を思わせる香りを、ハーブ好きには地元の茶葉を。そんな細やかな配慮が「自分だけの聖域」を形づくる。

        ただし文化的背景が異なる海外での導入には翻訳以上の工夫が要る。中東では遊牧民の歓待の流儀、南米では共同体的な祝祭性が結びつくかもしれない。各地域に合わせた「おもてなしの解釈」が求められる。




        Case 05:THE HIRAMATSU 京都(NIKKEN SEKKEI、京都)

        NIKKEN SEKKEI
        写真:NIKKEN SEKKEI


        さらに重要なのは、個別対応とプライバシー尊重の均衡である。データ分析は利便を高めるが、監視と感じさせては本末転倒だ。真のおもてなしは、相手を察しつつも一線を超えない繊細なバランスの上に成り立つ。

        ホスピタリティ産業における革新性は、派手な新規性ではなく、忘れられがちな「もてなす心の本質」を可視化する点にある。ロイヤリティプログラムや最新技術に溢れる時代にあって、「おもてなし」は人と人の関係性を中心に据える大胆な転換を示す。それは、宿泊空間を単なる商業施設から、人間性を尊ぶ場へと昇華させる試みであり、まさにホスピタリティの核心に迫るものである。

        Architizer Magazine
        English text: Samantha Frew

        About Samantha Frew:An expert in hospitality design, Sam has worked with some of the biggest hotel names in the world to help shape and integrate innovative brands across the globe. Her decades of design and industry knowledge have cemented her as a respected voice in design commentary.

        ※本記事は、Material Bankのグループメディアである「Architizer(アーキタイザー)」の記事を翻訳・編集したものです。