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ブランドセレクション

        2025年5月22日

        trunk show | アウトドアの世界観が体現された、自然とつながる北京での体験

        ── 自然と都市の間で、 北京の 「Arc’teryx」旗艦店にみる“カナダのアウトドア精神”の空間 (前編)

        世界の都市のなかでも、とりわけ自然との結びつきが深いのがバンクーバーだ。深い森や美しい水路、雪を頂く山々に囲まれ、無限に広がるハイキングトレイルや野外活動のフィールドにアクセスできるこの西カナダの港町は、アウトドアウェアとギアのハイパフォーマンスブランド「Arc’teryx(アークテリクス)」にとって、まさにふさわしい拠点といえる。


        その対極にあるような都市が、広大な都市空間を持つ北京だ。意外にも思えるこの地に、アークテリクスの新たな旗艦店がオープンした。だが、コロナ禍による厳格なロックダウンを経て、そして2022年の冬季五輪を契機に、中国の一級都市ではアウトドアスポーツ市場が急速に成長しており、それに伴って機能性の高いウェアへの需要も高まっている。


        1. 北京・三里屯にオープンしたアークテリクスの旗艦店(設計:Still Young)では、巨大な樹木の幹を模したFRP(繊維強化プラスチック)製の彫刻が、2層構成の店舗を貫く主階段を包み込むように設置されている 2. ファサードの一部には、地層を思わせる質感と色味を持つFRPスラブが使用され、自然地形の要素を表現 3. グラウンドフロアのキャッシュラップカウンター背面には、コンクリート仕上げの壁にブランドロゴが浮かび上がる 4. 延床面積約880㎡の店舗のエントランスは、片持ち屋根のキャノピーにより覆われ、来訪者をやわらかく迎え入れる



        北京・三里屯のトレンディなエリアに誕生したこの旗艦店は、単に登山やスキー、ロッククライミング愛好者に製品を販売するだけでなく、カナダ・コースト山脈のアドベンチャー精神を都市生活者に届けるという使命を持っている。「この店舗はアウトドアギアを陳列する場であると同時に、自然とのつながりを空間として体現しています」と語るのは、プロジェクトを手がけた上海拠点のデザインスタジオ「Still Young」の創設者、Eric Ch 氏。


        この“自然との接続”を都市空間で翻訳するには、豊かな想像力と、ある種の既成概念を再構築する力が求められた。Still Youngはこれまでも没入型商空間を数多く手がけてきたことで知られており、その経験が活かされたかたちだ。「バンクーバーの空気感を中国の来店者に伝えるため、ブリティッシュ・コロンビアの自然美やアウトドア文化を空間に取り入れました。素材選びやビジュアルの構成によって、ブランドの背景にある精神性が体感できるようにデザインしています」と、Ch 氏は語る。


        訳:「この空間は、アウトドアギアを陳列するだけでなく、自然とのつながりを感じさせるインテリアとなっています。」
        複雑で有機的なフォルムを持つ樹木の彫刻は、現地のアーティストや職人との協働によって実現された


        ── 都市に根を張る: Still Youngが北京に描いた「人工の樹林」 (後編)


        自然を象徴するもっとも普遍的な存在とは何か。Still Youngの答えは「樹木」だった。空間に土地とのつながりを持たせたいと考えた同スタジオは、北京という大都市の文脈に合った樹木のかたちを求めて、現地アーティストの作品をリサーチ。そこで得た造形的なインスピレーションをもとに、熟練の職人たちとともにFRP(繊維強化プラスチック)による巨大な樹幹の彫刻を制作した。


        このねじれた幹のような彫刻は、通りに面したガラス張りのコーナーにそびえ立ち、店舗の2層を貫く階段を包み込むように配置されている。そのまま天井を突き抜けるように設計されたフォルムは、まるでこの店舗が「木のまわりに」建てられたかのような印象を与える。Still Youngのエリック・チーは「この植物的な再解釈こそが今回のデザインの原点であり、都市のアウトドア文化とアート、そして空間とを融合させる鍵になった」と語る。

        店内には、自然を想起させる有機的な形状や素材感が随所に散りばめられており、訪れる人に「都市の中の森」を探索しているような感覚をもたらす。たとえば、グラウンドフロアのプロユース向けアパレルゾーンでは、木目調仕上げのGFRC(ガラス繊維強化コンクリート)で構成された壁と天井が一体化し、まるで中がくり抜かれた巨木の内部にいるかのような体験を演出している。


        このような有機的な面構成は店内の各所にも展開されており、試着室は洞窟のように囲われ、イベントスペースは風や水の浸食によって形づくられた岩窟を思わせるフォルムに。チョーク仕上げの白い表面にソファ席やAV機器を備えたその空間は、まさに「石器時代のハイテクラウンジ」とも言える。


        さらに、人工石の岩棚や、丸太材を重ねたようなベンチがオープンエリアに点在し、視覚的なマーチャンダイジングのための「島」を構成。プロダクトの展示のみならず、ブランドの世界観を体感させる仕掛けが随所に仕込まれている。


        ── 自然と都市をつなぐ、Arc’teryx北京旗艦店が描く二つの風景


        とはいえ、店内すべてが自然へのオマージュというわけではない。北京という都市の持つ現代的な表情に呼応するように、一部のゾーンにはより硬質でインダストリアルなデザインが施されている。たとえば2階のアーバンウェア専用ルームでは、床はコンクリートタイル、什器にはブラッシュドメタルや鏡面仕上げのステンレスが使用され、壁と天井には巨大なアクリル製ライトボックスが組み込まれている。特にピッチの効いた天井形状は、伝統的な中国建築の屋根を彷彿とさせるもので、波打つ瓦を模した壁面とともに、文化的なルーツへの目配せも忘れていない。この空間からは、まるで近未来のテントでキャンプしているような印象を受ける。


        また、店内の随所にディテールのシャープさが際立つ仕掛けも見られる。ポスト&ビーム構造から吊るされた金属レールのラックシステムや、天井に埋め込まれたミニマルなライン状のLED照明など、都市的で洗練された要素が空間に緊張感をもたらしている。


        こうした表現豊かなディテールは、ブランドの根幹を成す「過酷な自然環境」と「先進的なテクノロジー」の両方と共鳴している。Ch 氏は「これは単なる店舗設計ではなく、ブランドのストーリーを語り、お客様の体験をつくるプロセスでした。」と話す。Arc’teryx の歴史や哲学、そしてその拠点であるカナダ西海岸の気候や文化背景を深く掘り下げたうえで設計を進めたという。「製品を並べるだけではなく、ライフスタイルや価値観までも体現する場を目指しました。」


        そのため、内装から外装に至るまで、すべての素材選定と構法には環境への配慮と持続可能性の意識が通底している。「この空間が、Arc’teryx の理念だけでなく、私たち自身の“地球の未来に対する姿勢”を反映する場になってくれることを願っています。」と彼は語る。


        その信念は、ファサードにも明確に表れている。透明なガラスと、山肌の地層を思わせるFRPスラブの対比が、自然と人工の美しさを共存させている。しかし、何よりもこの店舗の意図を象徴的に物語っているのが、通りに面したガラスの角に展示された、約2メートルの巨大な松ぼっくりの彫刻だ。まるで真上の樹から落ちてきたかのように佇むこの作品は、自然への直接的なオマージュであると同時に、クラフト、アート、サステナビリティという三つの領域を同時に指し示す。なぜなら、この彫刻はすべて工場廃材からつくられた成形パルプによって制作されているのだ。



        https://www.materialbank.jp/all/curated-collections/


        INTERIOR DESIGN Magazine, February 2024

        English text:Dan Howarth

        Photography: Yuuuun Studio