
訳:ベルギーのデザインスタジオ「 WeWantMore」 は、フランスとベルギーにあるマクドナルドの店舗を対象に、サーキュラー(循環型)デザインのパイロットプログラムを実施
── マクドナルドの空間再構築、循環型デザインによる新たな店舗像
フランスとベルギーの一部店舗で始動したパイロットプログラム。世界的ファストフードブランド「マクドナルド」の店舗内装を、よりサステナブルかつ長寿命な空間へと刷新する取り組みが進められている。デザインを手がけたのは、ベルギー拠点のスタジオ「WeWantMore」。ブランドの既存資産や使用済みマテリアルを活かしつつ、循環型リノベーションの新たな指標を提示している。
ブリュッセルの中心地、Beursにあるベルギー第1号のマクドナルド店舗には、創業年を記したブロンズ製のウォールプレートが掲げられている。「1978年」それはちょうど、オイルショックの影響で家具製造におけるプラスチック依存が問われ始めた時代でもあった。
しかし今回の改修後、店内に1970年代の名残はほとんどない。ブランドは今、かつてのブラウンのマンサード屋根の記憶を超えて、より環境意識の高い未来へと舵を切ろうとしている。
Beurs店のリニューアルは、すでにフランスで実施された2つの循環型パイロットプロジェクトに続くものだ。いずれも、アントワープを拠点とするスタジオ 「WeWantMore(主宰:Ruud Belmans / Thomas Vanden Abeele)」がデザインを担当した。インテリア設計とブランドコンサルティングを両立させるマルチディシプリンなアプローチにより、マクドナルドのグローバルなブランドアイデンティティと、スタジオ独自の素材リサーチチームが培ってきた先進的なサステナビリティ手法とを融合させた。
── 循環型デザインが生み出す、光と素材のレストラン体験

1. 装飾や家具はすべて、接着剤を使わず機械的な固定によって組み立てられており、現地の施工チームが素材ごとに容易に分解・再利用できるよう配慮されている 2.3. 各店舗の中心には、エネルギー効率の高いLEDチューブによるパーティションウォールを設置。「晴れた日のような光のエネルギーを表現している。」と、WeWantMoreのクリエイティブ・ディレクター、Ruud Belmans 氏は語る
各店舗の中心には、LEDチューブで構成されたパーティションウォールが設置されている。これは「晴れた日の光のようなエネルギーを象徴している」と、WeWantMoreのクリエイティブ・ディレクターの、Ruud Belmans 氏は語る。
本プロジェクトで採用された内装材や家具は、エコロジカルな持続可能性に特化したコンサルタント「Anthesis」が開発した指標によって、ライフサイクルの測定と追跡が行われた。設計戦略として、分解しやすく、粉体塗装やリサイクル困難なラミネートを使用していない什器が採用されている。接着剤ではなく機械的な固定によって組み立てられているため、現地の施工チームが容易に解体・再利用できる構造だ。
テーブルトップには再生されたコーヒーかすが使われており、マクカフェでは100%再生プラスチック製のテーブルやスツールが使用されている。店内の椅子にも同様の再生プラスチックが用いられている。木材の80%はPEFC認証済み、床材と天井材には「Cradle to Cradle」認証が与えられている。将来的には、素材サプライヤーと連携した「回収プログラム」の構築も視野に入れている。
什器やアートの「前の命」を感じさせるのは、表面のテクスチャーや色彩だ。テーブルトップに使用された鮮やかなLDPEシートは、アートウォールにも用いられ、樹脂のうねりがダイクロイックフィルムで象られた“抽象的なゴールデンアーチ”を連想させる。Belmans氏は「レストランの象徴的な存在であると同時に、社会的責任としてのサステナビリティを、喜びと結びつけたい。」と語る。その“光とポジティブさ”を象徴するのが、再生蛍光灯で構成された常設オブジェだ。「設計には太陽や、可視光のスペクトルのような自然の要素が随所に込められている。」と、Belmans氏は続ける。
また、WeWantMoreが直面した課題の一つが耐久性だった。テーブルトップには、食事トレイや清掃用洗剤によるダメージに強い耐傷性素材を採用。すべての素材は、マクドナルド独自の厳格なテストをクリアする必要があった。
そして、このデザインは過剰に「サステナブル」を主張しない。「旗を振るような見せ方にはしたくなかった」と語るのは、マクドナルドのグローバルデザイン責任者、Silke Korporal氏。「持続可能なインテリアを“掲げる”のではなく、そこに“自然と存在している”ことを目指した。」という。

