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        2025年8月12日

        INTERIOR DESIGN 誌 | 2025年夏号

        ── THE BIG REVEAL | Gensler社の全貌が、明らかに。


        創業60周年を迎えた世界最大のデザインファーム、Gensler。
        その新たな経営体制とともに、都市や建築の課題にどう向き合っていくのか。

        今回お届けする、夏号(July / August, 2025 ISSUE)では、同社の最新プロジェクトを通してその思想と実践を読み解きます。既存オフィスを集合住宅へと大規模に転用した「Pearl House」、患者の移動負荷を最小限に抑えた整形外科クリニック「HSS Paramus」、そして自然と創造性を呼び込むコワーキング空間「ELEVENTH & The Annex」。いずれも社会の変化と密接に連動した設計アプローチが光ります。

        加えて、世界4都市の家具見本市からは、素材とクラフトマンシップの潮流を追いかけます。空間が果たすべき機能と可能性を、今あらためて問う一冊です。




        ▪️ Picked Article 01

        looking forward | 未来への眼差し


        創業60周年という節目を迎えたGenslerは、その歴史の長さにとどまらず、さらなる前進を遂げている。多分野にわたるグローバルな設計事務所として、同社は再び「Giants of Design」ランキングにおいて首位を獲得。数十年にわたり業界で最も高収益を誇る存在として、その地位を揺るぎないものとしてきた。この持続的なリーダーシップは、地理的な拡張に加え、新たな専門分野への多角化、そして社内の創造的リーダー育成に注力してきた姿勢の証でもある。

        そして今、Genslerはまた一つの大きな節目を迎えている。新たな共同共同CEO(co-CED)であるElizabeth Brink(エリザベス・ブリンク)と Jordan Goldstein(ジョーダン・ゴールドスタイン)が就任してから1年が経過したのだ。Gensler史上、これはわずか二度目となるリーダー交代である。彼らは、20年以上にわたり同社を率いてきたアンディ・コーエンとダイアン・ホスキンスの後を継いだ。前体制の2人は現在、全世界57拠点・約6,000名のスタッフを擁する組織の「グローバル共同会長」として経営を支えている。(誌面 66ページのインタビュー参照)

        Brink 氏と Goldstein 氏は、それぞれ21年・29年にわたってGenslerに在籍してきた社内出身のリーダーだ。その深い経験は、歴代のリーダーシップの価値観や組織文化を理解する上で大きな意味を持つ。「これまでの経営陣の歴史を理解し、その々から多くを学び、今もお尊敬する存在であることが、私たちの現在の立場に深く結びついています」と Brink 氏は語る。

        彼らは、Genslerの原点と創業者 Art Gensler(アート・ゲンスラー)の遺した思想に深く敬意を抱きつつも、その視線はあくまで前を向いている。就任からの1年間で、2人は自らの経営スタイルを明確に打ち出した。それは、「開かれた姿勢」と「誠実さ」を重視するアプローチであり、複雑なグローバル課題に取り組むチームの中から、最良のアイデアを引き出すための土壌づくりを目指すものだ。「私たちは仕事には真剣に取り組んでいますが、その過程で楽しさを忘れたくありません。形式にとらわれすぎず、リラックスした雰囲気を大切にしています」と Goldstein 氏は付け加える。

        Genslerの新たなリーダーたちが描くビジョン、その原動力とは何か。Interior Design 誌は、彼らにじっくりと話を聞いた ──

        ▪️ Picked Article 02


        都市を変えるリノベーション
        Pearl House | オフィスから住宅への再構築プロジェクト


        ニューヨークのフィナンシャル・ディストリクトとサウス・ストリート・シーポートの間に位置するPearl Houseは、かつての隣接ビル群とさほど変わらぬ姿(1970年代に建てられた典型的なカーテンウォールのオフィスビル)を外観に留めている。とはいえ、エッジの効いたファサードの刷新が示唆するのは、その内部における大規模な用途転換である。

        設計を手がけたGenslerニューヨークスタジオは、かつてオフィスとして利用されていた延床面積約44,600平方メートルの建物を、588戸の住戸を擁する住宅棟へと転換。これは、同市におけるオフィスから住宅へのコンバージョン事例として2番目の規模を誇るプロジェクトだ ──

        ▪️ Picked Article 03


        スムーズな動線設計が生む安心感
        Gensler が手がけた整形外科外来センターのリノベーション


        ニュージャージー州パラマスに新設された、Hospital for Special Surgery(HSS)整形外科外来センター。ここを訪れる患者の多くは、股関節の損傷、靭帯の断裂、足首の骨折など、移動に困難を伴う症状を抱えている。設計を担当したGensler ニューヨークオフィスのシニア・アソシエイトでありデザインディレクターの Ju Hyun Lee(ジュ・ヒュン・リー)は、その点に強く意識を向けて設計を進めたという。

        「来院時点で、多くの患者さんが強いストレスを抱えています。“ここにたどり着くこと自体がすでに試練”という方も少なくありません」と Lee 氏は語る。設計対象は、地上2階建て、約2,800平方メートルの既存オフィスビル。医療施設としての機能性を満たすために、まず構造の改修が必要だった ──

        ▪️ Picked Article 04


        家具デザインの現在地を巡る旅
        ミラノ、コペンハーゲン、シカゴ、ニューヨーク──世界の見本市から


        デザインの最前線を知るには、展示会場を歩くのが一番早い。今季も世界各地で開かれた家具の国際見本市では、素材、形状、色彩にまつわる新たな潮流が見られた。

        まずは、世界最大級のデザインイベントとして知られるミラノサローネ。今年も欧州各地のブランドがこぞって最新作を披露し、素材への探究クラフト感覚の融合が多くの注目を集めた。特に天然石やリサイクル材を用いたサステナブルなアプローチは、プロダクトデザインの未来を示唆するものであった。

        一方、北欧デザインの中心地・コペンハーゲンでは、スカンジナビアンモダンの再解釈が進行中。温かみある木材使いや、ローカル職人の技術を活かしたプロダクトが多く、静けさと詩的な空気感をまとった空間提案が目立った。

        続くシカゴニューヨークでは、アメリカならではの機能性重視のモダンデザインが健在。オフィスや共用空間を意識した製品が多く、可動性や拡張性、収納性など、「使い勝手」への配慮が形に現れている。さらにニューヨークでは、アートピースのような造形家具も存在感を放ち、インテリアとアートの境界を曖昧にする試みも見受けられた。

        各都市で異なる文化と市場ニーズに応える形で進化する家具デザイン。“今”を映す多様な断片が、これら国際見本市を通して浮かび上がる ──